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No
良
「な。黙ってこっち見てるけど……今、何考えてんの?」
尋ねられて私は目の前にいる、精悍な顔つきの彼を改めて見つめ直す。
あなた
(どうして……こんなことに、なったんだっけ?)
印香の甘やかな香りに導かれて迷い込んだ、不思議な遊郭――の夢が、物語の始まりだった。
そこで出逢った男娼は、幼馴染であり初恋の人である彼と、よく似ていた。
横たわった私の首の後ろに、彼の手がかかる。少し力がかかって、私は逆らわずに顎を少し上に向けた。
鼻がくっつくような距離で、私の上に覆い被さる彼がひそりと囁く。
甘い一夜の夢を見た翌日。彼は私の前に、同僚として現れて……
良
「中高の同級生で……まぁ、それよりも前から知ってるから、幼馴染ですね」
信じられない偶然が、いくつも――いくつも重なっていく。
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