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「な。黙ってこっち見てるけど……今、何考えてんの?」
あなた
「……え?」
尋ねられて私は目の前にいる、精悍な顔つきの彼を改めて見つめ直す。
あなた
(どうして……こんなことに、なったんだっけ?)
印香の甘やかな香りに導かれて迷い込んだ、不思議な遊郭――の夢が、物語の始まりだった。
そこで出逢った男娼は、幼馴染であり初恋の人である彼と、よく似ていた。
あなた
「鬼、お……う、くん」
「……『鬼王くん』じゃなくていい」
横たわった私の首の後ろに、彼の手がかかる。少し力がかかって、私は逆らわずに顎を少し上に向けた。
鼻がくっつくような距離で、私の上に覆い被さる彼がひそりと囁く。
「良、って呼んで」
甘い一夜の夢を見た翌日。彼は私の前に、同僚として現れて……
ライ
「もしかして、2人は知り合いなのかな?」
「中高の同級生で……まぁ、それよりも前から知ってるから、幼馴染ですね」
信じられない偶然が、いくつも――いくつも重なっていく。
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