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あなた
「こ、これ……淫具!? 淫具って大人の……いえ、違うんです。失礼しました――」
慌てて脱衣所を出て、私は再び、不可思議な建物の中を彷徨い歩く。すると賑やかな声が聞こえてきた。
あなた
(広間で妖魔たちの宴会が開かれてるんだ。なんだかすごい光景……ここは本当に夢の世界なのかも)
酔っ払いの妖魔
「ん? おいおいこんなところに人間の女がいるぞ! ここで働いてるのかぁ? おい、お前らもこっちに来いよ」
酔っぱらった様子の妖魔たちがふらふらとやって来て、集まる。囲まれたら逃げられない――そう思った時。
???
「だめ」
???
「こいつは俺の蝶だから、他あたって」
酔っ払いの妖魔
「良の蝶? お前は私たちが指名してるだろう。いくら下戸だからといって、私たちはまだ飲み足りないぞ!」
「ん、わかってる。ちょっと待ってて。……――おい、こっち」
あなた
「え、っ……わ」
手を引かれてその場を離れ、リネン室に入ると、振り返った彼が真っ直ぐな目で私を見つめる。
「どうしてあんたがここにいるのか知らないけど、ほとぼりが冷めるまで、隠れてろよ。厄介な奴も多いから」
「誰かに声をかけられても、簡単についていくなよ? ……わかった?」
あなた
「っ、わかりました。ありがとうございます」
頭をぽんと撫でて、ほんのわずかなときめきの余韻を残し、彼はリネン室を出ていってしまう。
ひとりきりになってようやく息をつき、その場に座り込んだ。
あなた
(これが夢ならいつ覚めるんだろう……少しだけ、疲れちゃった)
目を伏せ、しばらくすると――「おーい」という呼び声が降ってきたので、驚いて顔を上げる。
???
「あははっ。生きてた生きてた」
???
「ねえ、君、こんなとこで何してんの? かくれんぼってやつ? 僕もまぜてよ」
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